北斗七星の庭

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watari-um art museum next exhibition重森三玲


バラガン展ぶりのワタリウム
今回は作庭家、重森三玲の展示。会場構成は藤原徹平氏でした。
重森三玲は、台風の影響で庭園の保存・継承ができないことに危機を感じ、国に掛けあうもことごとく断られ、意を決して1936年から約3年間という短い期間に全国の古庭園にて実測を行い、日本における庭園史を体系化したとして知られています。
本格的な庭園の設計に入ったのは40代に入ってからですが、それまでは自分の部屋をも下宿として貸し出し、縁側で原稿を書くという貧乏ぶりだったそうで。


彼の作品はそこまで見たことがなく、とにかくモダンだなぁという印象だけを持っていたのが、実はその裏に伝統と創造の密接な関係性を考えていたことに触れ、あぁそういうことだったのか、と一人腑に落ちていた。
そこには、古いもの愛するのは、ただ古いものがいいからではなく、古いものの伝統を再解釈して構成するところに意味があるという意味だと自分は感じた。つまり、ただ斬新なものを求めているわけではないし、デザインの裏には、過去から永く伝わってきた伝統という下敷きがあることを忘れてはならないということだろう。


常識的な見方で間違っていると思えることも、一方で見方を変えれば、”常識外にあるもう一つの良さ”となる。
芸術は、ただ常識というものさしに当てはめるのではなく、作家の意図するメッセージと背後に隠された問題意識の構造のみが議論の対象になるべきなのだろうか。