成城学園前にて

成城三部作を見る。成城ファースト、成城フェリス、成城山耕雲寺。全て鈴木了二の作品で、それぞれ物質試行10、11、33。
最初の2つは年度も制作no.も隣同士なだけあって、随所に対応関係が見られるようだ。

例えばエントランスの端から階段を上ってアプローチする形式は同様で、階段からの見下ろしで使用しているマテリアルは異なるけれど、見せたい効果は一緒だと思われる。成城ファーストは鏡面によって狭い通路を広く、長く見せているように。また成城フェリスでは黒の鏡面漆喰だろうか、鈍い反射面が立ち現れるように。
また、階段を登り切ると頭上に手すりとも梁ともつかないような部材が何本も横切っている。時にねじれたり、玉が挟まっていたり。
そして両者とも微妙な軸のずれが実際にボリュームとなって現れ、それらが外部に飛び出したり、内部に刺さるように方向を変えていく。さながらリチャード・マイヤーのような感覚を覚える。
外観は街の中にある塊が切断面となって出現したような形。とても30年前だとは思えないほど、馴染んでいた。



続いて、成城山耕雲寺。
これは、各部詳細に見ていくと、数年前在学中に見学させてもらった金刀比羅宮への布石に思えてならない。
今でこそ何をしようとしていたのかが薄っすらとはわかる気にはなるが、例えばそれを実現できたとして、ユーザー側としてはどう思うのだろう。
これまで学校で勉強していたこと、本や資料で読んだこと、実際に見てわかったこと、建築を生業とする人の話を聞いたこと、これらすべて、バックグラウンドの異なるものとして捉え、フラットな目で見ていたい。強くそう思った建築だった。


何年後かに、自分なりの思考を実際に形に残していくために。
なぜか、頑張れよ、と応援されたような気分になって、帰路についた。