場所性と建築

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1-10,1-11 Amsterdam Orphanage / Aldo van Eyck


先日のエントリで、建築と場所性は抜き差しならない関係にあり、人間による生きた空間において密接な関わりを有しているのではないかという論を参照したけれども、よくよく考えてみても全くその通りであると思っている。
地盤(というか地面、ground)と建築が融合して形づくる風景は、建築の主流を占めてきた形態そのものの面白さや斬新さとはベクトルが違うかもしれないが(勿論構造的な面でも新しい試みは行われているし)、プログラムや用途が変更されたとしても"その場所にしか有り得ない"強度のある風景であるはずだ。
そういった意味で、西欧の街における古代ローマを基盤とする都市を参照していくと、都市の軸や広場を支えているヒエラルキーが薄っすらと見えてくるようだ。それは軸性や中心性という点がなるほどと思ったのと結構深い関係があり、新しく建てられる建築においても過去の積層から軸や場所性を読み取る作業の必要性がひしひしと感じられる。


今回課題で本当にやりたいのは、周辺の住宅地のボリュームが創りだす平均的なグリッドパタンのリズムを公園内部に引き込むことによって、地盤のレヴェルを再構成することが一つ。つまり、地盤はその場所と周辺が元来有している環境の連続性を切断すること無く、敷地内へと浸透させることが必要で、そして建築については、地盤とは異なる秩序をもって風景を創出したいということ。これらふたつのエレメントはそれぞれ相互に応答しあうことによって、"ここにしかないもの"を創りだせる可能性を生み出せるんではないか、という考えに現在至っている。


来週が中間なので、ひとまずこれまでの考えをまとめることと、地盤のスタディは一端終えて、現在進めている建築のスタディを何とか形にして図面にするまでを一気にやってしまいたい。
今はAldo van Eyckあたりを参考にグリッドパタンの構築をどうやるか考えている・・・。オランダのデ・ステイルが何だったのかも興味があるし、レムが状況打開しようとした構造主義偏重の時代についても一度考えを巡らせておきたい。


(追記)
cf) 歴史のなかの都市グリッド | 伊藤毅 ‹ Issue No.45 ‹ 『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース (10+1記事より)
C・ジッテの広場の造形然り、原広司の均質空間論然り、その理論が潜在的に持っている等質性が場所性を無視することで、均質なグリッドパタンによる都市形成の弊害が起きていると至るところで述べられている。
グリッドパタンの無意識的に持っている等質性をいかに地盤との融合で昇華していけるかが焦点かもしれない。