島の幸福論 ー 海士町のくらし


すでに2ヶ月も前の話だけれど、GSの見学会で海士町に訪れる機会があった。
訪れてから感じたことをまとめたものを再掲。


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 まず最初に頭をひっくり返されるのは、これまでの過疎地域( 一般的に言われている表現をすると) は、決して遅れているのではなく、これから日本全国の人口が減っていく社会の先を行っているという考え方だった。そして、外の人を受け入れる土壌があり、何でも楽しくやってみようという意識がある。少しの滞在ではあったものの、これは色々と歩きまわってみて感じた印象だ。もちろんすべての人がそのような考えを持っているとは限らないが、他地域と明らかに異なる特徴だと思った。


 人口が減ることが確実なこれからの地域がどのようにしてやっていくかということは、多くの地域において日々実践が行われているだろうが、大きな問題として、(1)仕事があるかどうか、(2)人口が増えるとして、これまで住んでいた人々と新たに入ってくる人、そして行政など様々な立場同士の関係をどのようにつくっていくか、の2つがあると思う。海士町では、(1)に関しては、仕事があるかどうかではなく、仕事は自分でつくるもの、あるいは、日頃から食べるものを自分でつくりながら日銭を稼ぐということがなされている。(I ターン者の人たちの心強いこと! ) また、(2)に関しては、特に町長やstudio-L によって、様々な角度や視点から、色々な地域への関わり方、参加の仕方が” デザイン” されている。地域へのアプローチとして、自分自身が地域に入って活動を繰り広げる視点や、デザイナー・プランナーの視点から一人の専門家として、多くの人が幸せな暮らしができるように地域へ参加する場をデザインする、といったことまで実に幅広いレベルの話に関わっていることが、これからの自分のあり方を考えるうえでは非常に面白いところだった。とともに、心にぐさっときたという感じも一方である。


 海士町は確かにすごく面白いことをやっていて、学ぶことはたくさんあったのだが、一方で、基本的にまちづくり( とここでは表現するが) は各地域においての特殊解でしかなく、地域によって人を受け入れる土壌もまったく違うのだ、ということを思ってしまった。一方で、これからよりわかりにくいことをわかりやすくするという意味で、形に残らない仕事をどのようにして評価し、そして扱っていくかが難しくも面白そうだなぁと思った見学会だった。


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何はともあれ、これまで曲がりなりにも地域と関わり学ぶ機会に恵まれてきたということに感謝したいし、そのなかで自分の志すべきところがどんなところなのかようやく見えてきたようなないような。
えいやっと決めた感もあるが、まずは一端決めて突っ走ってみることも必要だとは、我が師のことば。
毎日ぐるぐるしてるが、なんとか前を見据えてこ。