振れ幅の大きさ
今年は学校で生活する最後の年ということもあって、一日を大事に過ごしたいと心から思うんだけれど、先生の口から紡ぎ出される一つ一つの言葉がこれほど大きくって心に染みてくるような気分になったことは今までに無かったような、今日はそんな気持ちで先生の話を聞いたりしていた。
「空高く飛び上がるためには、大地をしっかり踏みしめなければならない」
スペインの画家であるジョアン・ミロの言葉からは、大地への接近が逆に空高い飛躍に反転して作用する両義性のもとに物事は成り立っているといった意味を示していて、それは、日常的な具体性への追求があってこそ、高い抽象性の存在を肯定することができるという言葉に置き換えた先生の意図をすごく知りたいとおもった。
それをさらに自分の考えていることに置き換えると、人の幸せとは何かという難しい問いに答えようとするときに、嬉しさや楽しさ、心地よさや心が震えるというような、まったく物理的に評価することができない最も人間的な領域へのアプローチとして、その場所の雰囲気や空気に影響を与え、そして実際にかたちづくる空間そのものを具体的に考え操作することができる分野の存在が、実はこれから先私たちが生きていく上でヒントを与えてくれるんではなかろうか、と勝手ながら感じている。
ある意味、こうした振れ幅の大きさを許容できるということが、極端ではあるけれど、あっちこっちの視点に立って物事を捉えることができる近道なのかなぁと、そのときは解釈していた。
今更ながら、あれ以上は無理だったかもしれないとは思うけれど、色々なことに首を突っ込んでやってきてよかったと思う反面、自分はなんて教養がないのだろう、とがっくしだったりもして。
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11/27
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視点を転換するということがどれほど難しいことかは身を以てまざまざと感じさせられているが、やはりどんなときであっても真逆のことをイメージするということは、頭の片隅にぜひぜひ置いておきたい。
まぁまずは手を動かしなさい、とか言われそうだけれど。