崖っぷち2009、そしてルオー

論文とは、やはり発表があってこその論文である。
本当に今更ながら、もといなぜこんな時期に、という疑問が後をついて回るが、このたび現地にて発表会を果敢にも行ってきたのだ。
負けることはわかっていて。とかほんとうは言ってはいけないが。
恐らく20名をこえる聴衆のプレッシャーに飲み込まれそうになりながらの、崖っぷちのプレゼン。


しかし、自分にとっては最も重要な位置づけの場となった。
まずは、お世話になった方々への恩返し。そして、今後の道筋。そういう意味を持つ場。


発表を聞いてくれた人はみんな優しかった。だけど、それが歯がゆい。
でも、まさか学生の発表を聞くのは初めてだとか、地域のことを考えてくれることが誇りだ、といった話が出てくるとは思わなかった。
一番の収穫は、現地で何をするのか、ということ。うだうだ考える前に、現地で動いた方がずっといい。


地域に対するスタンスについて、何かが見えてきたような気がする。
そういった意味で、今回の機会はひとつのポイントになる気がしている。


自分の将来についていくらかの展望はあるけれど、本当にそれがいいのかもわからなくて、でも突き進むしかなくて。
そんな暗闇に、一筋の光を与えてくれたような、そんな出来事だった。この日は、絶対に忘れたくない。


その後、みんなで民謡を踊って、おいしくて苦い酒を飲み、久しぶりにゆったりと寝ることができた。
帰りはそのまま帰るのがもったいなくて、清春芸術村に寄ってきた。

随分のどか。

清春白樺美術館。(谷口吉生設計)
現在、ジョルジュ・ルオーの作品が展示されている。

美術館前にはイスが並べられていて、座ってもいいようになっている。

周辺には白樺が顔をみせ、その先にギャラリーが見通せる。

ラ・リューシュ。
設計はエッフェル、パリの記念建築物として保存されているものを模した建築物。

茶室 徹。
思った以上に小さかった。本当にちょこん、ていう言葉が似合う建築。


ルオーは、人間の愚かさや生きる苦悩を描き続けたという。
実際、展示してある絵に、人が入っていない絵は無かった。
力強い色彩と、大胆な筆の動き。
昨日のことを思い浮かべながら、眺めた。