どんづきの撮影会

WSの合間を縫って、奈良田へ。
今回は民謡の撮影保存をするため、50年ぶりに復活した「どんづき(地固めの唄)」を見学。
実際に地固めをするための槌も再現するため、わりと大掛かりな作業が必要で、自分たちもその手伝いに参加した。


奈良田という集落は、周囲とは隔絶された地域で、こうした建築の伝統工法などもまわりではなかなかみられないやり方だそうだ。


仕組みとしては実に単純で、木製のやぐらの中央に、藤蔓を活用して地固め用の木を立てかけ、その周りに取り付けた縄を大勢の人で引っ張り上げては打ち付け、地面を固めるというやり方。



家一軒を建てるのに、すべての足場にこのどんづきを行っていたというから、驚きだ。
一カ所にかける労力も、やってみると大変で、地固めだけでも一日では終わらなかっただろうと想像できる。


このような知恵と技術の集積も、時間が経てばどうなるかわからない。
今回こうして民謡の撮影に始まり、奈良田に存在するいくつもの唄を収録することができているのも、知識を持った人のちからと実際にそれらを行うエネルギーを持った人のちからがうまく結集した、絶妙なタイミングだからなんだろうとおもう。
だからこそ、今回この撮影に参加して感じたのは、全員の想いが槌を打ち付ける「よいしょー、よいしょー!」という言葉にのって空高く声が響き渡る時間が、何とも言い難い空気を創り出していたような気がする。
とにかく、感動した。ほかの人はどうかはわからないが、ただそれだけだ。


東京への帰りにハプニングがあったけれど、充実した一日だった。